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まだ使える!住宅取得等資金贈与の活用

2024.11.10

こんにちは、税理士の太田圭子です。今回は住宅取得等資金贈与について解説いたします。令和5年で終了するのでは?と心配の声が上がっていましたが、令和6年の改正で期間が令和8年12月31日までに延長され、まだまだ活用できる制度です。

 

1. 改正後も有効!住宅取得等資金贈与

 

今回の改正により、令和6年1月以降に、相続により財産を取得した人が生前に受けた贈与の加算期間(持ち戻し規定)が相続開始前3年前から順次7年に延長されました。従って今後は相続対策としての暦年贈与の有効性が縮小されたといえるでしょう。但し、条件をクリアすることにより持ち戻しの規定を受けない住宅取得等資金贈与については、改正前同様に、税負担を軽減しつつ次世代に財産を移転する有効な手段といえます。

 

2. 非課税の上限は最大で1,000万円

 

住宅取得等資金贈与の非課税限度額は、住宅用家屋の種類に応じて1,000万円と500万円のいずれかになります。

 

3、条件をクリアしなくては課税される!

 

この特例、実はいろいろと厳しい条件があり、クリアしないと贈与税の課税を受けてしまいます。

詳細は国税庁のパンフレットをご参照頂くとして、ここでは特に注意していただきたいポイントを紹介いたします。

詳しく見たい方へ 国税庁パンフレット

 

条件その1 契約前に確認!1,000万円は証明書添付が必要

 

限度額が1,000万円となる「省エネ等住宅」とは、省エネ・耐震性・バリアフリーなどの基準に適合する住宅であることにつき証明がされたものをいい、贈与税の申告書に「住宅性能証明書」や「住宅省エネルギー性能証明書」などの証明書の添付が求められます。従って、注文住宅の場合には建設会社を選ぶ段階で証明書が発行可能であること、マンションや中古住宅の場合は要件を満たすための証明書が発行できる住宅であることを必ず契約前に確認しましょう。

 

条件その2 贈与の翌年3月15日までに家屋を新築(または取得)しなければならない。

 

分譲マンションや建売住宅は特に要注意です。贈与の翌年3月15日までに引き渡しを受けなければアウトとなります。従って手付金の支払い段階で贈与するのは危険といえます。工期が予想外に長引く可能性も考え、完成引き渡し時の決済資金の贈与で特例を使えば安心です。なお、注文住宅は翌年3月15日までに屋根と骨組みができていれば良しとされています。これに加え遅くとも贈与を受けた翌年の年末までにその家に実際に住むことが条件となります。(災害の場合は1年延長の救済措置有り)

 

条件その3 贈与を受けた子や孫のその年の合計所得金額が2,000万円以下でなければならない。

 

 贈与を受ける子や孫がマイホームを買い替える場合などは要注意です。買換え前のマイホームの売却により所得が2,000万円を超えている場合があります。この所得は居住用の3,000万円控除前で判断されますので注意して下さい。

 

条件その4 贈与税の申告は期限内に絶対必要

 

 贈与税がかからなくても、翌年3月15日までに必ず申告が必要です。期限が過ぎた後では認めてもらえません。また通常の暦年贈与では贈与した親や祖父母が贈与した年に亡くなった場合、その贈与財産は贈与税が申告不要となり、相続財産に取り込まれますが、住宅取得等資金贈与については同一年であっても期限内に贈与税の申告が必要で、その申告により相続財産に含まれることなく非課税の適用を受けることができます。

 

4. 最後に

 

今回は特に注意したいポイントをご紹介しました。住宅取得等資金贈与は、税負担を軽減し、親世代から子世代へ資産をスムーズに移転するための有力な手段ですが、その適用には上記以外にも満たすべき要件や注意点がありますので必ず事前に税理士に相談してください。

 

筆者紹介

太田 圭子
税理士法人田﨑・太田事務所
税理士

大事な家族を亡くしてから10カ月という期間で申告しなければならない相続税。改正により今後相続税の申告をしなければならない人は増える見込みです。相続税は生前の対策、遺産分割の方法、そして財産の評価方法によって大きく税金が変わってきます。そして相続は相続税だけではなく、財産を相続した人のその後の所得税や消費税、そして無くなった方が法人経営者だった場合などには法人税にも大きく影響を及ぼします。専門家として相続にまつわる税金の悩みを解決するのが私の仕事です。不安を感じている方からお話を聞いて最善の解決策を御提案できれば幸いです。メールマガジンではできるだけ専門用語を使わずわかりやすくて身近な税に関する情報を記事にしていこうと思います。

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